古代 あやこ☆ブログ

シンガー・ソングライター

わたしの天使が殺された日

7月26日(木)の朝の出来事です。

いつものように、朝起きて

台所に居る十姉妹たちの鳥籠に掛けてある夜用の布を、めくった。

鳥籠の中に、何か居た。

蛇だ!

よく見ると、小鳥を頭の部分から三分の一位飲み込んだ状態で

うずくまっていた。

悪夢だ…

こんなの、悪夢に違いない…

こんなこと、あるはずがない…

嘘だ…嘘だ……

嘘だぁぁぁぁーーー!!!

「あぁぁぁぁーーーーーー!!!」

気が狂ったような悲鳴を何度も上げながら

わたしは、ハサミを持ち、鳥籠の扉を開けて、中に居る蛇を挟み

鳥籠の中で、バンバンと下に叩きつけて、飲み込まれてる小鳥を吐き出させた。

頭の部分から首までベットリと蛇の唾液にまみれた小鳥は

すでに、息絶えていた。

ハサミで挟んだまま蛇を鳥籠から出して、床に落とし

カナヅチを持ってきて

「あぁぁーー!あぁぁぁーー!」と泣き叫びながら

狂ったように潰していた。

蛇は、30cm位はあっただろうか

鳥籠にスルッと入れるくらいだから細い奴だった。

鳥籠に横たわっている小鳥を出して、手に取る。

十姉妹は、3羽居た。

親鳥のつがいと、子供。

襲われたのは、子供だった。

親鳥たちは無事。

殺された子は

昨年の春に、我が家で初めて産まれ、唯一育った子。



ヒナの頃、まだ羽根が生え揃ってない頃に一度、巣から落ちてた事があった。

そっと拾って、籠から出して、少しの時間、手のひらに乗せて

「かわいいなぁ」と写真を撮ったりした時があった。

触れたのは、たったそれだけだったのに

羽根が生え揃い、成鳥になっても、わたしを怖がらなかった。

籠に手を入れると、普通の十姉妹は怖がってバタバタ逃げまわるのだけど

その子は逃げない。

わたしの手から餌を食べてくれたりする。

籠の中で、手のひらに餌を乗せて差し出すと、手に乗るようになった。

そのうち、餌を乗せてなくても、手を入れると、すぐ乗るようになった。

指をもってくと、止まり木に止まるように、すぐチョコンと乗る。

ずっと憧れていた手乗り十姉妹に、なっていた。

十姉妹はず〜っと何羽も飼っていたけど

怖がりで懐かないのが当たり前だった。

文鳥やインコなどは手乗りがいたけれど、十姉妹の手乗りは珍しい。

それに、手乗りにするには

ヒナの頃から世話をして信頼関係を築かなければいけないらしい。

なのに、この子は、おかしい。不思議な子。

十姉妹は、ちっちゃくて可愛い。

こんなのが手乗りになったら、めちゃめちゃ可愛いだろうなぁ…と思っていた。

想像どうり、ほんとうに可愛かった。

ピコという名前を付けた。

少しずつ慣らしていって、そのうち籠の外にも出るようになった。

出すと、部屋を中を、大きく自由に飛ぶ。

でもピコは親思いで、すぐに籠に止まり、外から親鳥たちの様子を見ている。

そして、籠に戻りたがる。

だから、あまり長く遊んでくれなかったけど

いつもわたしのこと見てくれて、可愛い声で呼んでくれたり

歌うようにさえずってくれたりした。

何より、すぐ手に乗ってくる愛らしさは格別だった。



その子が…もう動かない。

昨日まで元気だったのに。

もう、動かない…。

あんなに懐いてくれてた可愛い子が

こんなに急に

こんなに残酷で苦しい死に方をするなんて。

殺されるなんて…。

大人になってから初めて、親たちに涙を見せてしまった。

あまりにも悲しくて

死んだピコを手のひらに乗せて

「ピコが蛇にやられた〜!ピコが死んじゃった〜!」

と、泣きながら親たちに見せに行った。



あぁ…台所の床で潰れてる蛇の始末をしなきゃ、と思い

ピコを、小さな箱にティッシュを敷いて、その中にそっと寝かせた。

潰れた蛇をビニール袋に入れて、床の掃除をしていて、鳥籠が置いてある棚をずらしたら

その下に置いてあったゴキブリホ〇ホ〇に、何か得たいの知れないものが入っていた。

蛇だ!たぶん、死んでる。

そういえば、ここんとこ台所が臭うなぁと思っていて

ヨーグルトが腐ったような臭いだったから

シンクの配管にヨーグルトが付着して腐ってるんだと思い

専用の洗浄剤を流したりしていた。

でも、あまり効果がないなぁと思っていたんだけど

原因は、こいつだった。

古い家だから、ちゃんと戸締りをしていても、どこかの隙間から入るんだろう。

家の中といえど、決して安全な場所ではないのだなぁと思い知った。



蛇たちは、処分した。

でも、もうピコは生き返らない。

もっと早く見つけてれば助かったかもしれない

ごめんね…

苦しかっただろうね…

「ピコ〜ピコ〜ピコ〜」と、たくさん泣いた。

ピコを入れた小さな箱に、小松菜と餌と、かわいいサルスベリの花と

一晩、心を込めて書いた手紙を入れて

次の朝、庭の金木犀の木の下に、埋めた。



残った親鳥たちを守らなければいけないと思い

蛇避けの砂を買ってきて、鳥籠の置いてある棚の下に置いた。

それから、網戸くらいの細かい網を買ってきて、縫って

鳥籠にカバーをかけてあげた。

そうやって防備してるけれど

わたしの心は、かなりショックを受けてしまってるようで

朝、こわごわ鳥籠を見る毎日。

仕事から帰宅した時も。

しょっちゅう「居る?大丈夫?」って、安否確認してしまう。

親鳥たちも、様子がおかしい。

ボーっとしていたり、雌がヒステリー起こして雄を攻撃していたり

わたしを怖がらなかったり。

手に止まることはないけれど、餌を摘んで傍に持ってくと食べてくれる。

ピコがそうだったから、少し影響受けてるみたい。

わたしも、しばらくボーッとすることが多かった。

何度も、ふっと7月26日の朝を思い出してしまって

いろいろな思いが頭を駆け巡る。



どうして、こんなことが起きたのだろう…。



1年半も生きてなかったね。

ピコ、ごめんね。

短い間だったけど、わたしは幸せだったよ。

ほんとうに、ほんとうに、ありがとう。



ほんのひととき、地上に降りた天使

また、きっと会いに来てね。



昨年4月2日
まだ飛べないのに、巣から落ちてたところを救助したついでに
かわいいから記念撮影

昨年5月29日
成鳥になった、真ん中がピコ
親鳥、左はチヨ(雌)右はヤマト(雄)
幸せだった頃

昨年6月9日
籠の外に出るようになった
気まぐれで、出たり出なかったり
出たい時は羽根をバサバサやって「出せ〜」と意思表示する

手の上で歌う♪
とても可愛かった

今年2月5日
作りかけのわたしのCDが入ってるダンボール箱の上に来た


ピコがいなくなってから

寂しさ紛らわすように

やりかけだったことや、やってみたかったこと

なんだか、黙々と動いているわたしがいるよ